心理士向けのメモ

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臨床心理士試験対策練習問題① 解答

 

解答編。間違いがあったらtwitterなどで教えてください。

 

問題はこちら。

 https://oo-cp-blog.hatenablog.com/entry/2019/10/02/173310

 

 

 

 

 

次の人物と関連のある用語の組み合わせのうち、適切なものの組み合わせを下のa~eの中から1つ選びなさい。
a. Wertheimer,M. - 効果の法則
b. Pavlov,I.P. - 自由連想法
c. Thorndike,E.L. - 条件反射
d. Köhler,W. - 洞察学習
e. Freud,S. - プレグナンツの法則

 

 

正答 d
a. Wertheimer,M. - プレグナンツの法則
b. Pavlov,I.P. - 条件反射
c. Thorndike,E.L. - 効果の法則
d. Köhler,W. - 洞察学習
e. Freud,S. - 自由連想法


次の人物と関連のある用語の組み合わせのうち、適切なものの組み合わせを下のa~eの中から1つ選びなさい。
a. Spitz,R.A. - 情動調律
b. Stern,D.N. - 正常な自閉期
c. M.S.Mahler - 原始的防衛機制
d. Fantz, R.L. ー 選好注視法
e. M.Klein - アナクリティック・ディプレッション

正答 d
a. Spitz,R.A. - アナクリティック・ディプレッション
b. Stern,D.N. - 情動調律
c. M.S.Mahler - 正常な自閉期
d. Fantz, R.L. ー 選好注視法
e. M.Klein - 原始的防衛機制

 

次のヒトの脳波に関する次の記述のうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、下のa~eの組み合わせの中から最も適切なものを1つ選びなさい。
A. δ波は成人の精神活動時や興奮時によくみられる脳波であり、棘波ともよばれる。
B. θ波は小児の基本的脳波であり、成人では主に睡眠時によくみられる。
C. てんかん患者の脳波には速波と呼ばれるスパイク状の脳波がよくみられ、診断の大きな目安とされる。
D. 睡眠時の脳波は徐波のみであり、α波がみられることはほとんどない。

a 〇〇×〇
b ×〇〇〇
c 〇×〇×
d ×〇××
e ××〇〇

 

正答 d
×A. 成人の精神活動時や興奮時によくみられる脳波はβ波、β波は速波と呼ばれる。δ波、θ波を統括して徐波と呼ぶ。
〇B.小児の基本的脳波はθ波、成人と比べて周波数が遅く不規則。成人では睡眠時に主にみられる。
×C. てんかん患者の脳波によくみられるのは棘波である。
×D. 基本的には睡眠時には徐波がよくみられるが,REM睡眠時は覚醒時と似た脳波を示す。REMは急速眼球運動(Rapid Eye Movement)のこと。筋緊張が低下する。


次の症状・障害のうち、前頭葉を損傷した際に一般的に生じる可能性の低いものを下のa~eから1つ選びなさい。
a. 同名半盲
b. 注意障害
c. 運動性失語
d. 脱抑制
e. 遂行機能障害

正答
a. 同名半盲
後頭葉を損傷した際に損傷した側と反対側の両目の視野が欠損する症状。
後頭葉欠損であれば両目の右視野が見えなくなる。


神経細胞に関する次の文章の組み合わせのうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、下のa~eの組み合わせの中から最も適切なものを1つ選びなさい。
A.無髄繊維は有髄繊維と比べて電気信号の伝導が速い。 
B.シナプス間の情報伝達は主に電気信号を介して行われる。
C.モノアミン仮説とは神経伝達物質の過不足が精神疾患と関連するという仮説である。
D.シナプス間に放出された神経伝達物質の一部は一定時間後、シナプス前神経終末に回収され再利用される。

a ×××〇
b 〇〇〇×
c ×〇××
d 〇×〇×
e ××〇〇

 

正答 e
×A.有髄繊維はミエリン鞘(髄鞘)と呼ばれる絶縁体の間(ランヴィエの絞輪)を跳躍伝導するため、無髄繊維よりも伝導は速い。
×B.シナプス間の情報伝達は主に神経伝達物質と呼ばれる化学物質によって行われる(ヒトでは特定箇所に存在する電気シナプスのみ電気信号で情報伝達が行われるが、ほとんどは神経伝達物質で情報伝達が行われる化学シナプスである)。電気信号は軸索。
〇C.SSRI抗精神病薬などの治療薬はこの仮説に基づいている。
〇D.SSRIはこの回収(再取り込み)を阻害することでシナプス間隙のセロトニン量を維持することで伝達が行われやすくするとされている。再取り込み以外にも受容体付近の酵素での破壊や周辺の領域に拡散するなどシナプス間隙の神経伝達物質の量が減少する要素は存在する。

 

抗精神病薬錐体外路系副作用として、正しいものを1つ選べ。(公認北)
① 眠気
不整脈
③ 認知機能障害
高プロラクチン血症
⑤ 遅発性ジスキネジア

正答⑤
④プロラクチンはドーパミンで制御されている。そのため、抗精神病薬によってドーパミンの分泌が減少しすぎると、プロラクチンの分泌が制御できなくなってしまう。乳汁や胸が張るなどの症状が特徴。不妊乳がんなどのリスク要因。
⑤遅発性ジスネキジアとは反復的な、不随意の目的のない動作をしてしまう。遅発性とはゆっくり症状が発症・進行すること。錐体外路系症状は動きに関する症状なので⑤が正解。

 

SSRIに関する次の文章の組み合わせのうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、下のa~eの組み合わせの中から最も適切なものを1つ選びなさい。

A.口喝や便秘などの錐体外路症状と呼ばれる副作用が生じることがある。
B.神経伝達物質の内、セロトニンノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害する薬である。
C.一般的にSSRIは三環系抗うつ薬と比べて副作用が控えめである。
D.SSRIの服用中の急な断薬は離脱症状が生じるリスクが高い為、徐々に減薬を行う。

a ××〇×
b ×〇〇〇
c 〇××〇
d ××〇〇
e 〇〇〇〇


正答d
×A.錐体外路障害ではなく、抗コリン作用。ざっくり言えば胃腸の働きを抑える作用のこと。この作用を目的とする薬が胃腸の過活動を抑える下痢止めとか胃薬とか。
錐体外路障害は黒質におけるドーパミン不足によって生じる姿勢や不随意運動の障害であり、抗精神病薬の副作用として知られる。パーキンソン病と同様の機序で生じると考えられている。具体的な症状としては手の振戦(ふるえ)、筋硬直、仮面様表情、アカシジア(じっとしていられない)、急性ジストニア(筋肉の収縮)等。
×B.SSRIセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する。これはSNRIの説明である。
〇C.三環系抗うつ薬は色々な受容体に作用するため効果が強く副作用も強い。副作用を抑え選択的に作用するように改良されている。
〇D.半減期が短いものほど離脱症状が生じやすいとされているため、半減期が長い薬に変更することもある。

 


以下の記憶に関する文章の組み合わせのうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、下のa~eの組み合わせの中から最も適切なものを1つ選びなさい。

A.短期記憶は一般に保持容量7±2文字、保持時間15~30秒前後の記憶の貯蔵庫であると考えられている。
B.長期記憶は一般に保持容量が事実上無限、保持時間が半永久の記憶の貯蔵庫と考えられている。
C.手続き的記憶は短期記憶の一種であり習慣や技能など想起意識を伴わない事を特徴とする。
D.感覚記憶とは選択的注意を向けた刺激を10秒程度保持する記憶の貯蔵庫だと考えられている。

a ××××
b ×〇〇×
c 〇×〇〇
d ×〇××
e 〇〇×〇


正答d
×A.短期記憶の保持容量は一般に7±2チャンクとされる。チャンクとはまとまりのこと。
〇B.
×C.手続き的記憶は長期記憶の一種。
×D.感覚記憶とは入力された視覚・聴覚情報をすべて1秒前後保持する。視覚の感覚記憶をアイコニックメモリー、聴覚の感覚記憶をイコーイックメモリーと呼ぶ.

 

以下の信頼性の測定法に関する文章の組み合わせのうち、適切なものに〇、適切でないものに×をつけた場合、下のa~eの組み合わせの中から最も適切なものを1つ選びなさい。
A.再テスト法では同一集団に期間を空けて同一のテストを実施し、1回目と2回目の点数の相関係数を信頼性係数とする。
B.平行テスト法では2群に同一のテストを実施し、2群間のテストの得点の相関係数を信頼性係数とする。
C.折半法では1つのテストを実施後、同質となるように項目を2つに分割する。分割した得点間の相関係数を信頼性係数とする。
D.内的整合性による信頼性の測定では、項目群の可能な組合せ全てについて相関係数を算出し平均した値を信頼性係数とする。

a 〇××〇
b ×〇〇×
c 〇××〇
d ××〇× 
e 〇×〇〇

 

正答e
〇A.最も信頼性の概念に沿った方法。デメリットは期間を空けるとはいえ1回目の記憶が2回目に影響する可能性があることと空けた期間中に変化が起こる可能性があること、2回検査を行うため被験者の負担が大きいこと。
×B.内容や量、難易度などが同質のテストを2つ用意し、同一被験者に実施する方法。2つのテストの得点の相関係数を信頼性係数とする。再テスト法のデメリットを補う目的で開発された。デメリットは同質のテストを用意することが現実的に不可能であること。被験者の負担も再テスト法と同様。
〇C.1回のテストで済むため被験者の負担が軽減される。デメリットは同質の折半が現実的に不可能であること。
〇D.クロンバックのα係数。α=項目数/(項目数-1)×(1-(各項目の分散の合計/合計点の分散)。項目数を増やすとαも増加する。